リチウムイオン電池を内蔵したモバイル機器の火災を防ぐために
ご注意いただきたいポイント! (安全な選び方・捨て方編)
リチウムイオン電池を搭載したモバイル機器の発火事故、
特にモバイルバッテリーの発火事故が急増しています。
MCPCでは、環境省の
「リチウムイオン電池による
火災防止強化キャンペーン」に賛同し、
通信事業者/モバイルバッテリーの
会員企業と共に
LiBパートナーとして
モバイル機器をより安心・安全に
ご利用できるよう取り組んでいます。
参考:MCPC記事:リチウムイオン電池使用製品の安全な使い方
ー購入~取扱い~廃棄まで事故を防ぐためのポイントー
ご購入時に注意いただきたいポイント!
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、ネット購入品の事故増加の状況から、リチウムイオン電池搭載製品をインターネット購入する際、高リスクな製品を購入しないために気を付けることとして、
- ① 『他の製品と比べて極端に安価ではないか』
- ② 『信頼できる販売元かどうか(国内の連絡先が存在するか)』
- ③ 『「PSE等のPSマーク」の近くに事業者名があるか(PSE規則対象製品に限る)』
- ④ 『廃棄する方法はあるか』
を確認することを提唱しています。
また経済産業省にて、インターネットを通じて販売を行う海外事業者への規制強化を行い、お客様が安全に使用できる環境を整備することを目的とした製品安全4法の改正が12月25日に施行される予定です。インターネット取引における製品の安全性確保のため、ネットパトロールも実施されています。安全基準への適合を確認するために電話やメールで複数回連絡しても回答がない企業が「連絡不通事業者」として公表される予定です。
- 参考:
-
- NITE記事:ネット通販品の落とし穴「ポチる」前に確認すべき4つのポイント」
- URL: https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs250130.html
- 経済産業省記事:インターネット取引における製品の安全確保について
- URL:https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/system/06-meti-torikumi.html
MCPCでは、KDDI株式会社様、京セラ株式会社様と合同でインターネットで購入できる比較的安価な「モバイルバッテリー」
、「メーカ純正品ではないスマートフォン交換用の電池パック」について、品質の確認を行いました。
その結果、「電池内部の電極に巻きずれがあるもの」や、「電池表面に錆があるもの」、「導線が絡んで組み込みされているもの」さらに「表示が必要なPSEマークが本体にないもの」など、品質に問題がある製品が複数確認されました。
<確認結果>
- 【電池外観】
-
①本体にPSEマークがない
- 【X線確認】
-
②電極の巻きずれ(X線写真)
- 【分解確認】
-
③電池表面に錆
④導線が絡んで組み込みされている
確認した結果を信州大学
是津教授に解説頂きました。
リチウムイオン電池に詳しい
信州大学 是津教授
【解説】
- ①PSEマークは製品が安全基準を満たしている証明です。マークのない安価な電池は、内部品質が保証されていない可能性があり、特に注意が必要です。
- ②リチウムイオン電池の内部は、正極や負極、セパレータが何層にも巻かれた精密な構造になっています。巻き方がずれていると,電流が流れにくい場所と流れすぎる場所ができ、バランスが崩れます。巻き方がずれた状態で充放電を繰り返すと、電極の一部でリチウムが金属のように析出し、内部で“見えないショートが起こることがあります。巻きずれは外からは見えませんが、電池内部の“見えない歪み”が電池の膨張や発煙になる恐れがあります。(下記参照)
- ③電池表面に錆があり、電池の管理に対しての懸念や異物混入の恐れがあります。
- ④3本の導線について、プラスとマイナスの線が絡んで組み込みがされており、導線の被覆が傷ついた場合、短絡する可能性があります。
・巻きずれが大きく正極が負極より大きい場合(メカニズムイメージ)
リチウムイオン電池の品質が不十分な場合、火災(発火・発煙)の事象の可能性がありますのでご注意ください。
【MCPCマークも確認しよう!】
モバイルバッテリーを購入する際は、PSEマークが付いているか必ずご確認ください。
MCPCマーク★も安全を見極める目安になります。
★MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が策定する、基本機能、安全性などの自主的なガイドラインに基づく評価試験に合格した製品に表示されるマークです
PSEマーク
MCPCマーク
リコール品にもご注意!
リコール品へも注意が必要です。リコール品については、
消費者庁のリコール情報サイトにて製品の検索を行うことができます。
モバイルバッテリーについては、【特集】モバイルバッテリー - 注意喚起ページに一覧が記載されています。
普段お使いでないモバイルバッテリー(しまったままのものなど)についても対象品でないか確認をお願いいたします。
「【特集】 モバイルバッテリー - 注意喚起」(消費者庁) (https://www.recall.caa.go.jp/result/detail.php?rcl=00000034421&screenkbn=01 )より2020年以降に実施されたものをMCPCが転記(2025.12.1)
| 販売元 | 製品名 |
|---|---|
| アンカー・ジャパン | 「リチウム電池内蔵充電器、スピーカー:Anker PowerCore 10000、Soundcore 3、Anker PowerConf S500、Soundcore Motion X600J」 |
| 住本製作所 | リチウム電池内蔵充電器・モバイルバッテリー |
| 小米技術日本 | リチウム電池内蔵充電器・Xiaomi 33W Power Bank 20000mAh (Integrated Cable) |
| Bigblue Tech | リチウム電池内蔵充電器・X tormモバイルバッテリー |
| アンカー・ジャパン | Anker Power Bank, Anker MagGo Power Bank |
| CIO | SMARTCOBY Ex01 SLIM Qi2 & CABLE |
| Ilano | Ilano 10000mAh Magsafe対応 ワイヤレスモバイルバッテリー |
| ノジマ | 分離式モバイルバッテリー |
| Shenzhen Baseus Technology Co., Ltd | Baseusマグネット式ミニワイヤレス急速充電モバイルバッテリー 2022、6000mAh 20W - モデル |
| イケア・ジャパン | VARMFRONT ヴァルムフロントモバイルバッテリー(ダークブルー、ブルー) |
| ゼンデュア・ジャパン | モバイルバッテリー ZENDURE SuperMini 5K |
| ティ・アール・エイ | cheero Flat 10000mAh |
| アンカー・ジャパン | Anker 334 MagGo Battery, Anker Power Bank |
| ロア・インターナショナル | HyperJuice 130W USB C バッテリーパック |
| ヒロ・コーポレーション | リチウム電池内蔵充電器 |
| ベイアン電器 | ACアダプタ内蔵モバイルバッテリー |
| フォーステック | リチウム電池内蔵充電器:コストコ専用モデル モバイルバッテリーPQI Power 6000CV |
| アベル | リチウム充電器(3000mAh) ポータブルバッテリー(アベルブランド) |
| ポケモン | モンスターボール モバイルバッテリー Anker 10000mAh |
| ベルキン | ポータブルワイヤレス充電スタンド:リチウムイオンバッテリー内蔵 |
| アクタワークス | ヒーターベスト購入時のベンルティモ:モバイルバッテリー |
| あさひ | 充電式バッテリー:「moon」リチウム蓄電池 |
| メテラス | EVERBright ソーラーパワーバンク |
<回収ご協力のお願い>
会員企業であるアンカー・ジャパン株式会社様は、リコールに対する再発防止として、下記品質向上の取組を行っております。対象製品をお使いの場合は、メーカの回収活動にご協力いただけますようお願いいたします。
アンカー・ジャパン 製品回収情報
< 同社再発防止内容 >
- ・セル製造サプライヤーへの管理体制および社内での検品体制の更なる厳格化を迅速に進めております。また、改めて体制の見直しを行い、開発時の品質やテスト基準の厳格化を進めております。
- ・セル製造サプライヤーに対してAnkerグループ側の管理および監督体制が不十分であったため、製造サプライヤーの選定基準の再度見直しならびにAnkerグループが定める規定を強化しております。
- ・製品出荷前の検品における体制の見直しならびに検品項目の厳格化も進めております。
- ・セル製造サプライヤーにおけるAnkerグループ製品の製造過程にて、Ankerグループが定める規定に準拠するよう監査体制を強化しました。
MCPCのモバイルバッテリー品質向上の取組
MCPCでは昨今のモバイルバッテリーの事故やリコールの状況、ネット品購入確認結果から、品質向上を目的にモバイルバッテリーの設計・品質を規定しているガイドラインの改定を予定しております。
改定内容は、現在規定している「PSE認証、充電制御・保護、筐体の難燃性などに関する基準」に加え、リチウムイオン電池の製造品質向上や(例:サプライヤーへの管理強化、トレーサビリティの強化、X線検査確認強化など)、アフター体制の状況確認を予定しております。
確定次第、HPにてご案内させていただきます。これからも会員企業さまとともに安心・安全の取組を推進してまいります。
リチウムイオン電池の正しい捨て方!
廃棄時に注意いただきたいポイント
12月は大掃除の時期となります。過去にもリチウムイオン電池を内蔵した製品が誤った廃棄方法で捨てられ、ゴミ焼却場や収集車で出火する火災も発生しております。
スマートフォンを廃棄する場合は、分解せず通信事業者のショップへ、
モバイルバッテリー・ワイヤレスイヤフォン・携帯型扇風機(ハンディファン)などリチウムイオン電池搭載製品を廃棄・処分する場合は、必ず自治体のウェブサイトなどを確認し、指定された方法で処分してください。
また、一般社団法人JBRC(充電池メーカや輸入事業者が加盟する団体)の会員企業が販売しているモバイルバッテリーは、回収に協力している店舗(家電量販店・スーパー・ホームセンターなど)や自治体に設置されている専用BOXにて回収がなされております。詳しくは、「JBRC」のホームページを参照ください。(https://www.jbrc.com/)
①誤った廃棄方法で捨ててはダメ!!
・誤った廃棄方法で捨てられることによって、ゴミ焼却場や収集車で出火する火災も発生しており、ごみ処理過程における被害額や件数が増加傾向にあります。廃棄・処分する場合は、必ず自治体のウェブサイトなどを確認し、指定された方法で処分してください。
②リチウムイオン電池を本体から取り出せない場合があります!
・モバイルバッテリー、ワイヤレスイヤフォン、携帯型扇風機(ハンディファン)、スマートフォンなどは、本体から取り外しができない場合があります。取り外そうとして無理に分解しないでください。分解の際に発火・発煙する可能性があります。
③できるだけ、使い切った状態(充電がされていない状態)で排出しましょう!
・専用BOXへ廃棄する際は、端子部を絶縁テープで処理し、充電を使い切った状態(放電状態)で排出するようにしましょう。
リチウムイオン電池は、放電された状態のほうが発火・発煙のリスクが比較的低くなります。
・携帯型扇風機<ハンディファン>の処分方法
冬になり、携帯型扇風機<ハンディファン>を処分されようとされている方もいらっしゃると思います。
携帯型扇風機<ハンディファン>は2種類あり、それぞれ処分方法が異なります。

- ①乾電池式ハンディファン
- 乾電池式ハンディファンは一般的に「不燃ごみ」または「小型家電ごみ」として扱われることが多いです。自治体の指示に従って正しく処分するようにしましょう。乾電池は取り外してください。電池を入れたまま処分すると、液漏れや発火の原因となります。取り外した電池は端子をテープで絶縁し、自治体の指示に従って「有害ごみ」や「資源ごみ」として適切に処分してください。
- ②充電式ハンディファン
-
充電式ハンディファンはリチウムイオン電池にて動いていますので、できるだけ使い切った状態で廃棄しましょう。
誤った廃棄方法で捨てられるとリチウムイオン電池は火災や発火の危険性がありますので絶対におやめください。
お住まいの自治体にお問い合わせいただき、それぞれの指示に従って正しく捨てるよう、お願いいたします。
また、本体から取り外しができない場合があります。取り外そうとして無理に分解しないでください。分解の際に発火・発煙する可能性があります。
異常を感じたら・万が一事故が発生してしまったら?
リチウムイオン電池が異常と感じた際の対処について、
信州大学 是津教授にコメントをいただきました。
「異常を感じたら使わない/触らない/預ける」という,3原則
スマートフォンやモバイル機器が異常に熱くなる、膨らむ、液漏れする、異臭や異音がするなどの症状が見られた場合、内部の電池が損傷している可能性があります。そのまま使い続けることで、発煙や発火につながる可能性がありますので、ただちに使用を中止し、電源を切ってください。
また、充電が遅くなった・できなくなった、充電時に以前より著しく熱くなる、突然電源が切れるといった変化は、電池の劣化や内部短絡の前兆である場合があります。こうした異常を感じたら、使用を中止し、修理店へ相談してください。
異常を感じたときにやってはいけないこと
異常を感じても慌てず、正しい対処をしてください。以下の行為は危険ですので、絶対にやめてください。
・自分で分解や修理を試みること
・膨張した電池を押し戻したり、針などで穴を開けること
万が一発火した場合は
・まずは身の安全を最優先し、速やかに離れてください。
・近くに可燃物がある場合は可能な範囲で離してください。
・火勢が弱まったのちに、可能であれば消火器を使用するか、大量の水をかける/水を張った容器に入れるなどして延焼を防ぎます。
・ただし、少量の水をかけるだけでは逆に反応が激しくなる危険があるため注意が必要です。
(参考)
- 1.内部短絡と熱暴走のメカニズム
- リチウムイオン電池が膨張・発熱するのは、内部のセパレーターが損傷して正極と負極が短絡し、電解液の分解反応が進行するためです。
この反応は自己加速的で、一定温度を超えると熱暴走を起こします。 - 2.異常兆候を「におい・音・ふくらみ」で感じ取る意義
- 電池の異常は視覚よりも嗅覚・聴覚で早期に察知できる場合があります。
焦げ臭さや「プチプチ」「シュー」という音は電解液ガスの発生音であり、初期段階の警告サインです。 - 3.水による消火の理屈と注意点
- リチウムイオン電池自体は水と反応しますが、密閉構造の電池セルでは外側からの大量放水で冷却・隔離する方が効果的です。
ただし、少量の水では部分反応が進み、むしろ発火が強まる可能性があるため、東京消防庁の推奨通り「大量の水 or 消火器」が適切です
通信事業者/モバイルバッテリーベンダーによる注意喚起
やってはいけない具体的NG事例や廃棄方法など、各オウンドメディアにて記事を参考にしてください。
■本ページは、信州大学、下記企業(MCPC会員)のご協力のもと作成しています。
- 協力企業:
- (株)NTTドコモ、KDDI(株)、ソフトバンク(株)、楽天モバイル(株)、京セラ(株)、アンカー・ジャパン(株)、(株)オウルテック、(株)センチュリー、多摩電子工業(株)、(株)トップランド、(株)PGA、フォーカルポイント(株)、MOTTERU(株)
■MCPCモバイル充電安全活動の取組みが、経済産業省 製品安全小委員会にて紹介されました。
消費経済審議会 製品安全部会(METI/経済産業省)
製品安全に向けた取り組み
■MCPCは、モバイル充電安全活動の実施にあたり、経済産業省 産業保安・安全グループ 製品安全課へ随時相談を行い、
事前の情報共有や意見交換を重ねております。
こうした取り組みにより、活動の透明性を確保するとともに社会的意義の高い活動を推進してまいります。
