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ランウェイチェックの車両に通信型のドラレコを設置ドラレコ内蔵の4G回線で撮影画像をクラウドへ自動送信土木職員によるモニタリング南紀白浜空港拡大図NECが開発したAIエンジンがミリ単位のひびまで検出株式会社南紀白浜エアポート事業内容:空港の運営URL:http://shirahama-airport.jp/companyクラウド南紀白浜エアポート オペレーションユニット長池田直隆氏9DATA導入活用目的滑走路点検業務の効率化・属人性の低減安全性の向上 コスト削減テクノロジAI、画像解析、クラウドによるデータ蓄積、リモートワーク共創事業者PCのブラウザ等から、関係者がいつでもどこでも結果を確認可能リモート診断オリエンタルコンサルタンツ(業務提携業者)Profile 一番機が到着する前の朝7時30分。和歌山県白浜町の南紀白浜空港では、滑走路の点検を行うため、黄色い車がゆっくりと走行していた。車の後方(リアウインドウ)にはドライ ブレコーダー機材が設置されている。人(運転者の目視)とIT(カメラ画像のAI解析)の両方で、それぞれ落下物がないか、滑走路面にひび割れが生じていないかを点検しているのである。 南紀白浜空港では、滑走路の維持管理において、数ミリのひびを見つける目視点検業務の効率化、限られた時間内に点検を終えるドライバーのストレスを軽減し、属人性を低減させたいという課題があった。NECがひびを検知するAI技術開発に取り組んでいることを知り、連携して空港滑走路のひび割れ検出システムの構築をスタートさせた。 取り組みの背景について、南紀白浜エアポート・オペレーションユニット長の池田直隆氏は、次のように説明する。 「人とAIの適性に応じた役割分担をしていこう、という発想です。AIは初めて見るモノの検知は難しいので落下物の確認は人が行い、ひびの点検はたくさんの画像をAIに学習させ、検知力を高めていきました」 システムでは、点検車による滑走路面の撮影画像を4G回線を経由してクラウドサーバに送信。撮影画像からAIが異常を検知する。遠隔にいる土木建築の専門家、南紀白浜空港内双方で映像情報を確認できる仕組みだ。 初期は排水溝や飛行機のタイヤ痕をひびと認識してしまうこともあったが、コロナ禍で飛行機の離発着が停止したタイミングで滑走路に徹底的に車を走らせ、大量の画像を撮影して、技術者がAIにき裂損傷を覚え込ませた。さらに他の空港でも一か月技術検証を行い、手ごたえを得て実運用に至った。 当初、ドライブレコーダーは車のフロントウインドウに設置していたが、撮影角度が斜めになり細かいひびを検知しにくく、後方に変更した。カメラのスペックを上げる解決方法もあるが、「取り扱うデータ量の増加はコスト増を招く懸念があり、スペックの向上だけにとらわれないようにしました」と池田氏は打ち明ける。 技術は深掘りできるが、経営におけるコストと成果のバランスも大切だ。この観点で池田氏が適切に判断を下し、プロジェクトを推進した。 スタッフの業務負荷を軽減できたことは、専門技術を持つ人以外にも雇用を広げられる可能性を開いた。また、データの蓄積から変化が進む個所を判定して「予防保全」を実施すれば、10年に一回の滑走路工事を12~15年に延ばせ、滑走路のライフサイクルコストを削減できるという。 同システムは国内の複数空港へ広がっているほか、バスからの道路点検などへの応用も実証中とのことだ。「ドライブレコーダー×AI」を活用した空港滑走路診断図 「ドライブレコーダーとAI」を活用した空港滑走路診断技術の精度とかかるコストを経営のバランスから判断モバイルビジネス賞株式会社南紀白浜エアポート日本電気株式会社オリエンタルコンサルタンツ株式会社ドラレコ画像から滑走路のき裂損傷をAIが自動検知

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