放送用カメラエンコーダーSA対応スマートフォンコンシューマースマホ等観客SA対応スマートフォン5Gコア設備基地局株式会社フジテレビジョンURL:https://www.fujitv.co.jp/東京マラソン2023(右)と5Gを活用した迫力ある中継の様子(下)©フジテレビ ©東京マラソン財団放送用カメラ専用スライススマートフォンカメラ専用スライス通常スライス5Gスカイツリーフジテレビ本社テレビ視聴フジテレビジョン技術局 局長補佐 武田篤氏(写真右)同 制作技術統括部 部長 真崎晋哉氏(左)同 技術戦略部 部長職 飯田智之氏(中央)8DATAテクノロジ5G SA SLA保証型ネットワークスライシング技術導入活用目的放送サービスの充実共創事業者Profile 2023年3月15日の東京。3万8000名のランナーによる「東京マラソン2023」が4年ぶりに開催され、90万名以上が沿道から声援を送った。 フジテレビジョン(以下フジテレビ)のテレビ中継では、フィニッシュに向けて力を振り絞るランナーの表情を至近距離で捉えた映像も放映された。 地上波放送の番組制作にて、5Gスタンドアローン(5G SA)のSLA保証型ネットワークスライシング技術が世界で初めて利用され、中継放送を成功させたのである。 「より良いコンテンツ制作や放送設備の実現へ、新技術の活用は常に行っており、5Gも商用前から検討してきました。KDDI社の5G SAのネットワークスライシングを試せること、中継箇所が移動し観客が多いことから、東京マラソンは実証の好機でした」 技術局・局長補佐の武田篤氏は挑戦の背景をこのように説明する。 「5G SA」は5G専用のコア設備を導入し高速大容量を実現。「ネットワークスライシング技術」とは、サービスに応じてネットワークの各種リソースを論理的に分割し、複数の独立したネットワークを構築する技術である。 他の利用者の影響を受けず高速大容量の5G通信を実現し、低遅延・高画質が前提となる放送での使用も、視野に入ってきたのである。 社内の5G活用検討プロジェクトをベースに東京マラソンの実証において推進リーダーを務めた技術戦略部・部長職の飯田智之氏は次のように振り返る。 「技術検証と番組制作の間に立ち、5Gを用いた中継が放送を補完し、いかに新しい価値をもたらすかの点から推進しました。ネットワークに負荷をかけるテストなども続け予想外の事態になっても放送に影響が及ばないようシミュレーションを重ね当日を迎えました。実際の番組での活用に成功したことで、遠い未来を現実に感じていただけたと思います」 番組にプラスされた価値とはどのようなものだったのだろうか。マラソンのようにフィールドが広大な中継では、無線技術の役割は大きいと、制作技術統括部・部長の真崎晋哉氏は打ち明ける。 「5G接続のコンパクトなカメラなら、低いアングルやコースのすぐそばで撮れます。また、2地点の放送用カメラの間に新しいカットを加えるなど、番組制作の発想も広がります」 放送における5G SAスライシング技術の活用は、フジテレビが追求し続けている番組の価値を、さらに高めることに貢献していく。東京マラソン2023中継での新しい番組制作図 番組制作における5G SAのSLA保証型 ネットワークスライシング技術活用イメージ映像中継場所(スタート・フィニッシュ地点)構成①構成②マラソン 中継番組の付加価値アップが5G中継の決め手モバイルテクノロジー賞株式会社フジテレビジョンKDDI株式会社テレビ中継における、5G SAの新サービス活用に成功
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