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図2 システム活用で得られる効果新規漁業者の増加漁業者一人当たりの生産量向上データに基づく養殖の実現システムやデータ活用で養殖を支援おいしい牡蠣の増産出荷計画、作業計画の策定が容易に海洋データを取得するための設備。電気はソーラーパネルを活用リブルCEO 代表取締役早川尚吾氏(写真左)COO 取締役 高畑拓弥氏(右)7ロロフィル、濁度、揺れなど。センサーを養殖場およびいくつかの海洋地点に設置し、通信装置から定期的に送信し、クラウドに蓄積している。 通信システムの構築においては、縁があったKDDIに早川氏自ら相談を持ち掛け、共創を続けている。海洋での電源確保にはケースに入れたソーラーパネルによる太陽光発電を使用している。 どこの漁場でどのような作業をどのくらい行ったかの作業記録や、出荷記録など養殖場の様子は、漁業者自身がスマートフォンのアプリから記録する。漁場の場所は、アプリ内のMAPから簡単に探すことができる。 海の上でIT機器を使うのは現実的ではないので、作業が終わった後に入力する運用である。 そして、入力作業以外は、漁業者へIT活用の負荷をかけないのが、リブルならではの支援コンセプトだ。 「漁業者が求めるのは牡蠣がたくさん獲れるという結果です。アプリから現場の作業内容をきちんと入力いただければ、次にどのような作業をすれば牡蠣の生産量を上げられるかについて、我々からデータ分析に基づきアドバイスします。結果が出れば、入力を続けるモチベーションも高まります」と早川氏は説明する。 水産業のIoTシステムは様々に開発されているが、現場に出ている漁業者がそれをすべて使いこなすのは荷が重く、ITを敬遠しがちになる。 リブルは、ITシステムを提供するのではなく、収穫増をもたらす「人の最適な行動へのアドバイス」を提供する。だからからこそ、多くの漁業者がITで挫折することなく研究成果を享受できるのである。 創業者であり、現在取締役COOを務める高畑拓弥氏は、システム内のデータは、無駄のない在庫管理・出荷管理にもつながっていると話す。 「漁場ごとの作業記録や、近日中に出荷可能状態にある牡蠣の漁場が簡単に一覧できるようにシステムを構築しました。こうした見やすさも現場作業を効率的に進める手助けをします。遠隔でデータを確認して今日の作業指示を出したり、お客様から出荷の問い合わせがあった際はどこの漁場からどのくらいの大きさの牡蠣をいくつ出せるかをすぐ回答できます。出荷や顧客対応などビジネス面での効率化も図れるのです」 漁業の遠隔支援が、いよいよ身近になってくる。 現在、3自治体で養殖の実証実験が進められているほか、企業からの問い合わせも増えているという。 早川氏、高畑氏は、「多様な海洋におけるデータから養殖ビッグデータが得られ、環境と養殖作業の関係がより明らかになります。成功する方法を漁業者に提供し、従事者数が減っても利益が増える漁業を目指したい。さらに牡蠣の輸出のみならず、この仕組み自体を海外事業として展開していく予定です。誰でも挑戦できる漁業となるのが、我々のミッションであり存在価値です」と力強く語った。作業記録はスマホからITを意識せず業務に集中できる様々な海洋データを蓄積し「誰でも挑戦できる水産業」に

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