アグリゲータ(仲介事業者)株式会社NTTドコモ事業内容:通信サービスURL:https://www.docomo.ne.jp/国内の電力不足解消のために電力会社からの要請に応じて需要家が節電NTTドコモEMS基盤需要調整要求(DR信号)多数の需要家の取りまとめ役需要制御量報奨金NTTアノードエナジー需要調整要求(DR信号)需要制御量報奨金最適な基地局の組み合せを自動選択NTTドコモ クロステック開発部第3企画開発担当担当部長 竹野和彦氏(右)同 主査 中村祐喜氏(左)NTTドコモ対象を選定し節電(放電)指令※LTE回線経由8Profile モバイル通信を提供するため各地に設置している無線基地局。多くの電力を消費する設備であり、電力の有効活用が求められるところだ。 NTTドコモでは、国内の電力不足などを解決する手段の一つとして提供されている、電気の需要を減らしたり送出したりする「DR」(デマンド&レスポンス)に対応するEMS基盤を整えた。節電要請への協力による社会貢献を実現している。 「システム開発のきっかけは東日本大震災で基地局が停電したことからでした。当時は長期間蓄電する能力が低く、バックアップを強化するため、無線システムの高度化、リチウム電池への変更、全国の基地局を監視して状況を把握する機能など、システムを更新してきました」 NTTドコモクロステック開発部第3企画開発担当・担当部長の竹野和彦氏は開発の背景をこのように説明する。 基地局電池の制御が可能になれば、緊急時に限らず、日常的にもシステムを活用できる。電気にゆとりがある夜間の充電やソーラーパーネルによる充電を行ったり、需要がひっ迫する際には放電するなど、フレキシブルな対応・制御が可能となった。 東京電力管内では、2021年から一部商用展開を始めた。 電力ひっ迫の事態になると、節電要請を受けたアグリゲーター(NTTアノードエナジー)を通じ電力需要調整要求のDR信号が届く。ドコモ側では信号を受けてEMS基盤から放電指令を出すが、その際、放電可能な基地局の最適な組み合わせを自動選択する。 同部主査の中村祐喜氏はシステム内容を次のように説明する。 「基地局ごとに電池容量が異なりますので、例えば3時間の節電を要請されたとしても、どの基地局でも3時間放電できるわけではありません。機械学習を重ねて、各基地局の容量から、パズルを組み合わせるように放電する基地局を自動的に選びだす仕組みを運用しています」 バックアップ電池は、災害時などに利用する目的があるためすべてを使うわけにはいかない。残す量とのバランスが求められるのだ。 竹野氏は、「社会貢献をしつつも、報奨金による利益も出せるようにしていきたい。EMS基盤システムは目的に応じて改良してきました。グループ全体でも蓄電池のありかたを議論しており、さらに進化させていきます」と今後の方針を語った。無線基地局インフラを用いた広域節電制御の商用展開図 無線基地局インフラを用いた広域節電制御地域電力事業者DATAテクノロジEMS基盤、デマンド&レスポンス、AI導入活用目的節電要請への対応リチウム電池への変更と遠隔制御が決め手モバイルテクノロジー賞株式会社NTTドコモ・NTTアノードエナジー株式会社電力ひっ迫時に自動で基地局の電池を放電し、社会貢献
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