サービス&ソリューション部門ユーザー部門図 早期漏水発見システム(リークネッツセルラー)の概要携帯通信網の採用とクラウド処理技術の開発により、現場に行くことなく地下からの通信と独自のアルゴリズムによる漏水自動判定を可能とした。金属製蓋通信ユニット金属筐体センサ部漏水発生携帯電話通信網「LTE-M」基地局遠隔漏水監視◆異常時には警報メールによる通報◆ブラウザベースのため多様な端末から 時間や場所に関わらずデータの確認が可能IoT漏水監視システムクラウドサーバ独自アルゴリズムによって漏水自動判定データの自動保存確認ブラウザベースのため、タブレット等どこからでも状況を把握できる。漏水の恐れがあるときはメールでも連絡が届く通知フジテコム代表取締役社長 森山慎一氏7(マンホール)の下にセンサが置かれている点にある。 フジテコム代表取締役社長の森山慎一氏は、次のように説明する。 「構想は10年ほど前からあり、まず、マンホール下からモバイル通信の電波を飛ばせるのか、マンホールの状況調査から始めました。さらに、モバイル通信費が維持管理費用として適切な範囲に収まるか、センサと通信機をどのように設置したら良いかを検証し続け、2020年に実証実験の提案に至りました」 ユーザーのニーズに通信・技術の改良が追いついてきた格好だ。 通信の確実性を上げるため、通信ユニットをマンホールに近いところに設置。水道管近くの配置が望ましいセンサと端末を分け、つないだ。 センサが検知したデータはLTE-Mを通じてクラウド上に蓄積、ブラウザ経由で閲覧可能とした。また、長年培ってきたノウハウをもとにしたアルゴリズムにより、異常発生の可能性がある場合は、メールにて自動的に担当者へ通知できるようにした。 フジテコムの提案を受けて、いち早く実証実験を開始したのが豊橋市上下水道局だった。 国道1号線下や市街地のみならず、海岸近くなど、いろいろなパターンを試した。 まず、きちんと通信が行われクラウドサーバにデータが届くかどうか、さらに漏水とみなされる状態を人工的に創り出し、通知されるかどうかなどの検証を重ねた。 2022年現在、運用予算を確保し、市内28ヶ所で継続活用をしている。 竹下氏は「タブレットを用いて、どこにいても最新状況を確認できるようになりました。漏水発生時の対応スピードはより速くなります。通常は気になる地点や通知があった地点だけに足を運べばよくなり、他の調査業務に時間を割くことができます」とこれまでの成果を語る。 新システム導入前は、担当者が2週間に1回、測定地点に出向いてデータを確認していたが、緊急対応事案が発生すると点検を中止にせざるを得なかった。多地点のリアルタイム把握で、この課題も解消できた。 森山氏は、「リクエストをいただいたことは開発の原動力になりました。真剣に維持管理方法を考え、良いものは活用しようと取り組んでくださったのが大きい。課題が明確で必要とされたシステムほど高い効果が出ることを実感しています」とこれまでのプロセスを振り返る。 ユーザー側が課題を明確にし、現場での地道な検証作業、そしてテクノロジーの進化と研究で、漏水検知を遠隔把握可能に─共創によって生み出され、豊橋市上下水道局がいち早く活用する早期漏水発見システムは、全国各地の自治体にも大きなメリットをもたらすだろう。通信状況や異常の検知を多地点で検証
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