図 空間全体を理解して制御する物流センターロボット運用データ(認識・経路設計)搬送時間・距離・運用パターン計測・認識(ロボット・人・天井に設置したカメラで倉庫の「今」を把握16搬送対象・障害物)効果測定・運用課題抽出認識・制御アルゴリズム改良個々の制御 (決断・計画・協調)適応遠隔制御技術によるリアルタイムでの無線制御ロボットや走行状況をタブレット等で把握できる独自開発した搬送ロボット。上部の模様で個体を識別するアクチュエータと安全装置のみ日本電気株式会社 <URL>https://jpn.nec.com/arc/日本電気株式会社 事業開発統括部 モビリティロボットグループ 土屋潤一郎氏Profile おしゃれな筐体のロボットが2台、前後から荷物を挟んで倉庫内を自動走行。人や障害物を避け、最短ルートで出口に向かう。走行ルートの判断はロボット自身が行っているのではない。無線でロボットを制御しているのである。 物流現場のシステムではECに対応したピッキングシステムや、無人搬送車(AGV)、自律走行搬送ロボット(AMR)などが知られている。 しかし、ロボットに覚えさせられるのは、決まった形状、モノ、ルートの場合だ。日用品や医薬品、食品など定常的な物流は入庫・出庫が頻繁にあり、荷物を置く場が一定とは限らない。顧客ごとに荷姿が異なったり、荷物の中身も日々の変動幅が大きいなど刻々と変わり、まだ人の手が必要だ。しかし、入庫・出庫時の荷物の搬送をロボットが担えれば、より少ない人数で現場を回すことができる。 このニーズを元に開発されたのが、NECの空間全体を理解して制御する物流センター向け無線制御搬送ロボット「協調搬送ロボットサービス」である。NEC事業開発統括部・土屋潤一郎氏は次のように背景を説明する。 「ロボットの中にカメラや自動運転の仕組みを持たせても周囲の環境が変わると判断できず迷子になることがあります。発想を変えて、倉庫がロボットを見ることで解決しようと考えました」 システムは、天井にカメラを設置し(おおむね10メートルに1台目安)、スタンバイするロボットや床に置かれた荷物の位置などを把握。エッジサーバでデータを解析し、無線ネットワークを通じてロボットに搬送の指示や、搬送中の障害物回避の指示を出す。倉庫内の移動の様子はタブレットなど、ネットワークに接続できる機器から確認可能である。 2台のロボットが前後を挟む設計のため、ロボットに牽引用の器具などはついていない。 「前後で挟めば台車ごと運べるので載せかえる作業をなくすことができ、様々な形状に対応できるのです。荷物を積んだ台車の車輪の向きが曲がっていることもありますので、ロボットを小さく動かして進行方向に向けるなど、研究を重ねました」と土屋氏は振り返る。 当システムを活用する物流現場では、「省人化効果が得られた。なんでも運べるのでロボットを複数の現場で利用することもでき、投資対効果が高い」との評価も得られている。優秀賞日本電気株式会社活用領域・解決する課題物流の自動化、効率化安全なロボット稼働対象分野物流業・小売業・卸売業テクノロジ・IoT/AI、スマートカメラ、搬送ロボット、空間のリアルタイム把握デバイスキーワードロボットが挟むから、省人化と多様な運搬に対応できる変化する倉庫の状況を捉え、ロボットに搬送指示「空間全体を理解して制御する」物流センター向け無線制御搬送ロボット
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